Construction

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土地の準備

Land Preparation

必要期間

約1~2ヶ月

倉庫建設に適した立地とは?

倉庫の建設地を選ぶ際は、長く安定した運用を見据えた土地選びをしたいですよね。
しかし、どんな立地が倉庫に適しているのかを見極めるのは一般の人には実は非常に難しいです。

例えば、市街化地域であればスムーズに進みますが、そうでない場合は倉庫の建設は難しくなります。また、用途地域の確認も必要です。工業地域であれば倉庫が建てられますが、住居専用地域で倉庫の建築はほぼ不可能です。
他にも、用途地域は問題なくクリアした場合でも、建ぺい率や容積率が想定よりも小さく、考えていた建物が建てれない、ということも起こりえます。

そこで、ここでは具体例を交えながら、倉庫を建設するのに適した土地を見つけるために、確認すべきポイントについてお伝えします。正しい立地を選ぶことで、将来的なコスト削減や業務効率の向上に直結しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

「市街化区域」と「市街化調整区域」の確認

市街化調整区域と市街化区域2

土地の利用計画を進める際、まず「市街化区域」か「市街化調整区域」かを確認することが重要です。市街化調整区域は、都市計画区域のうち、市街化を抑制すべき区域であり、開発や建築が厳しく制限されています。

なぜ市街化区域と市街化調整区域の確認が必要?

もし倉庫建設を計画している土地が市街化調整区域に該当する場合、建設許可を得るまでにかなりの時間がかかる可能性がありますし、最悪の場合、許可が下りないこともあります。そのため、事前に市街化区域か市街化調整区域かを確認します。市街化区域であればスムーズに計画を進めやすくなります。
市街化区域にある土地を選べば、インフラ整備も整っているため、工事も運営もスムーズに行えます。
ここでは、「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いについてわかりやすく説明します。

市街化区域とは?

市街化区域とは、すでに都市として開発が進んでいる、または今後10年以内に積極的に開発を進めていく予定の区域を指します。一般的に住宅や商業施設、工場、倉庫などが建てられる場所が多く含まれています。この区域では、建物を建てやすいだけでなく、必要なインフラ(電気、水道、ガス、通信など)も整っていることが多いため、倉庫の運営にとって利便性が高いです。

市街化調整区域とは?

一方、市街化調整区域は、市街地としての開発を抑制し、自然環境や農地を保護することを目的とした区域です。基本的に新たな建物の建築は制限されており、特に倉庫や工場といった事業目的の建築は厳しい許可が必要です。市街化調整区域内での建設には、通常、地元自治体への申請が求められ、許可を得るのが難しい場合もあります。

市街化区域か市街化調整区域かは、自治体の都市計画図やホームページや下記のサイトでも確認できるので、事前に必ずチェックしておきましょう。

市街化区域か市街化調整区域かの確認はコチラ(https://cityzone.mapexpert.net/pgKenList2

用途地域の確認

次に、該当する区域が市街化区域である場合、さらに詳細な土地利用制限を把握するために「用途地域」を確認します。

用途地域とは、都市の秩序ある発展と住環境の保護を目的に、市町村が定めた地域区分です。それぞれの用途地域には、建てられる建物や用途に制限があります。ここでは、用途地域の種類と倉庫建設に適した区域を、表を交えながら詳しく解説します。

用途地域主な特徴倉庫建設の可否例(具体的な地域区分)
住居専用地域主に住宅を建設するための地域で、商業施設や工場は制限がある基本的に不可第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域
住居地域住宅に加えて小規模な商業施設も許可されている一部制限付きで可能第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域
商業地域商業施設やオフィス、マンションなど多用途に利用可能基本的に不可(条件付きで可)商業地域、近隣商業地域
工業地域工場や倉庫などの建設に適しているが、居住施設は制限される準工業地域、工業地域
工業専用地域工場や大型倉庫に特化した地域で、居住施設はほぼ不可非常に適している工業専用地域

それぞれの用途地域を詳しく説明します。

住居専用地域

「住居専用地域」とは静かで落ち着いた住環境を守ることを目的にしており、大型の商業施設や工場は基本的に建てられません。

倉庫の建築は?

「住居専用地域」で倉庫の建設はほとんどの場合、認められません。主に一戸建てや小規模な集合住宅が多い地域です。

住居地域

「住居地域」とは住宅に加え、病院や学校など公共性の高い施設も建てられる地域です。商業施設も一部認められていますが、規模に制限があることが多いです。

倉庫の建築は?

「住居地域」で倉庫の建設は条件付きで可能ですが、小規模な倉庫に限られる場合が多く、大型倉庫は建設しにくいエリアです。

商業地域

「商業地域」とは銀行やオフィス、ショッピングモールなど多用途の建物が許可されているエリアです。人通りが多く、利便性が高い地域ですが、居住環境としては騒がしい場合もあります。

倉庫の建築は?

「商業地域」で倉庫の建設は基本的には不可ですが、店舗併設の小型倉庫など、特定の条件を満たせば許可が下りる場合もあります。

工業地域

「工業地域」とは製造業や物流業などの工場や倉庫が集まりやすい地域です。商業施設もある程度許可されており、住居が許されるケースも一部あります。

倉庫の建築は?

「工業地域」での倉庫の建設は可能で、多くの倉庫業者が選ぶエリアです。騒音や振動が出る作業も認められることが多く、物流拠点として適しています。

工業専用地域

「工業専用地域」とは完全に工場や大型施設専用のエリアで、居住はほぼ不可。騒音や振動が発生する重工業施設も許可されています。

倉庫の建築は?

「工業専用地域」は倉庫建設に非常に適しており、大規模な物流倉庫や製造施設が集中することが多いです。

用途地域別「建ぺい率」と「容積率」の確認

倉庫を建てる際には、土地に関する「建ぺい率」「容積率」も重要な確認ポイントです。これらは、土地の使い方や建物の規模に関する制限であり、土地の活用計画に大きく影響します。

用途地域建ぺい率(%)容積率(%)
第1種低層住居専用地域30、40、50、6050、60、80、100、150、200
第2種低層住居専用地域30、40、50、6050、60、80、100、150、200
田園住居地域30、40、50、6050、60、80、100、150、200
第1種中高層住居専用地域30、40、50、60100、150、200、300、400、500
第2種中高層住居専用地域30、40、50、60100、150、200、300、400、500
第1種住居地域50、60、80200、300、400、500
第2種住居地域50、60、80200、300、400、500
準住居地域50、60、80200、300、400、500
近隣商業地域60、80200、300、400、500
商業地域80200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300
準工業地域50、60100、150、200、300、400
工業地域50、60100、150、200、300、400
工業専用地域30、40、50、60100、150、200、300、400
用途地域の定めのない地域30、40、50、60、7050、80、100、200、300、400

この表は、各用途地域における一般的な建ぺい率と容積率の上限を示しています。具体的な数値は、地域の都市計画や特性に応じて各自治体が定めています。詳細については、該当する自治体の都市計画課などにお問い合わせください。

建ぺい率

建ぺい率は、土地の面積に対する建物の占有面積(建築面積)の割合を指します。
建ぺい率の制限により、土地全体に対してどれくらいの面積の建物が建てられるかが決まります。例えば、100㎡の土地で建ぺい率が60%の場合、最大で60㎡までの建築面積の建物しか建てられません。これは日当たりや防災の観点から、建物が密集しないようにするための規制です。

容積率

容積率は、土地の面積に対する建物の延べ床面積(総床面積)の割合を示します。
これにより、建物の高さや階数を制限することで、周囲との調和を保ちます。住宅地の中にビルなどを建ててしまうと、周りの住宅が日陰になったり、景観が崩れてしまうのを防ぐための法律です。
例えば、100㎡の土地に対して容積率が200%の場合、建物の延べ床面積は最大で200㎡までとなります。1階と2階をそれぞれ100㎡とすれば2階建てが可能ですが、1階が50㎡、2階が100㎡、3階が50㎡とすることで3階建ても可能となります。このため、容積率が高いほど、複数階の建物を建てやすくなります。

土地が決まると、次に敷地の測量を行います。

敷地調査(測量)

建設予定地での敷地調査(測量)は、計画の初期段階で行われる重要な工程です。この調査では、敷地の正確な境界を確認し、周辺の道路や環境を把握します。また、電気や給排水の接続ポイントなど、インフラに関する確認も行い、工事が円滑に進むための必要なデータを収集します。

これらの情報を基に、測量図面が作成され、設計や見積もりの基礎資料となります。初期段階で正確な敷地調査を行うことで、後々のトラブルを避け、スムーズな工事進行を支えることができます。

地盤調査

土地の測量が終われば地盤調査を行います。

地盤調査とは、建物を建てる前に、その土地の地面が建物の重さに耐えられるかを確認するための調査です。
例えば、地盤が弱いと建物が傾いたり、沈んだりする恐れがあります。そのため、建設前に地盤の強さや性質を調べ、必要に応じて地盤を補強する対策を講じることが重要です。

主な地盤調査の方法として、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)標準貫入試験(ボーリング調査)があります。SWS試験では、小型の機械で地面に棒を差し込み、地盤の硬さを測定します。一方、ボーリング調査では、地面に穴を掘り、土のサンプルを採取して地質や強度を詳しく調べます。

地盤調査を行うことで、建物の安全性を高め、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。特に、地震や豪雨などの自然災害に対する耐久性を確保するためにも、地盤の状態を正確に把握することが重要です。